第34回日本大腸肛門病学会教育セミナー
Ⅲ.肛門科(Ⅱb)
テーマ: 痔核・裂肛・痔瘻診療のステップ・アップ
1.痔核・裂肛診療のポイントとピットフォール~診断と手術療法へのタイミングについて~
寺田俊明先生(医療法人社団俊和会寺田病院 胃・大腸肛門病センター)
痔核と裂肛の治療法は原則的に生活習慣の改善や薬物療法であるが,改善がみられず外科的手術を選択する場合は,病変の根治を目指し,さらに術後の肛門機能を重視した術式を選択することが不可欠である.痔核は直腸下部の静脈叢の拡張であり肛門の閉鎖に役立つanal cushion 部の支持組織が弱まることで出血や脱出を呈するようになった状態である.基本の術式は結紮切除+半閉鎖術式であるが,痔核の形態や脱出の程度は様々である.近年では日帰りや短期入院を希望する患者も多いため,ALTA 硬化療法を併用した術式も広く選択されている.裂肛は肛門上皮に生じた切創であり,浅い軽度のものは早期に保存的治癒が可能であるが,慢性化し筋層まで達する深いものは,徐々に括約筋の伸展性が失われ狭窄を生じることで,症状の悪循環をきたすようになる.術式の選択は裂肛の深さ,狭窄の程度により用手拡張,LSIS(側方内括約筋切開術),SSG(皮膚弁移動術)が選択される.
このセミナーではそれぞれの疾患における外科的手術へのタイミングや術式を動画で説明する.