一般社団法人 日本大腸肛門病学会

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学術集会・セミナー

[抄録]深部痔瘻に対する浅外括約筋外切開アプローチによる括約筋温存術の有効性

最終更新日: February 20, 2025

第34回日本大腸肛門病学会教育セミナー

Ⅲ.肛門科(Ⅱb)
  テーマ: 痔核・裂肛・痔瘻診療のステップ・アップ

2.深部痔瘻に対する浅外括約筋外切開アプローチによる括約筋温存術の有効性
  辻順行先生(大腸肛門病センター高野病院)

坐骨直腸窩痔瘻に対する括約筋温存術に検討を加えた手術である側方法において再発率,術後の肛門機能などを検討した.
【目的・対象】2012 年4 月から2014 年9 月までに坐骨直腸窩痔瘻に対して側方法で根治術を行った症例に対して,手術時間,治癒日数,再発率,肛門内圧などの経時的変化を評価した.
【手術法】1.浅外括約筋の外側で肛門5 時または7 時の位置に円形の皮切を入れる.2.浅外括約筋の側方から後方に伸びる繊維束を露出させる.3.浅外括約筋外側の坐骨直腸窩を剥離し,痔瘻を露出,切離する.4.原発口を有茎弁で縫合して終了する.
【結果】手術時間は平均28 分,治癒日数は平均72 日,術後24ヵ月観察された累積無再発率は98%(n=42),括約不全症例は26.2%であり,そのうち9.5%は術前から括約不全を認めた.肛門管最大静止圧は術前と術後3ヵ月,6ヵ月,12ヵ月でそれぞれ有意差が認められた(p<0.05)が,術後24ヵ月では有意差はなかった.肛門管最大随意圧は全期間で有意差はなかった.
【結語】坐骨直腸窩痔瘻の側方法は優れた手術法であると判断された.

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