一般社団法人 日本大腸肛門病学会

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学術集会・セミナー

[抄録]直腸T1 癌の内視鏡治療の基本と最前線

最終更新日: March 25, 2022

第31回日本大腸肛門病学会教育セミナー

Ⅰ.内科・放射線科・病理科・その他(Ⅰ)
下部直腸癌に対する低侵襲治療の基本と最前線

2.直腸T1 癌の内視鏡治療の基本と最前線
   国立がん研究センター 先端医療開発センター 内視鏡機器開発分野 分野長
   国立がん研究センター東病院 消化管内視鏡科
   池松 弘朗

 大腸T1 癌の標準治療は,約10%のリンパ節転移を認めるためリンパ節郭清を伴う外科的腸切除が標準治療である.リンパ節転移のrisk factor に関する検討から,リンパ節転移が極めて低い病変を内視鏡的切除の適応病変としている.T1 癌に対する内視鏡的切除の約20%に垂直断端陽性を認め,術前内視鏡診断で強くcT1b を疑った病変は,安易な内視鏡的切除は避けたほうが良い.
 直腸病変に対する外科的腸切除は侵襲が大きく,拒否する患者が少なくない.局所切除後に補助化学放射線療法を追加する試験治療が,標準治療である外科的腸切除に対して劣らないことを検証する試験を現在行っている.また近年,垂直断端陰性で切除すべきPer anal endoscopic myectomy や全層切除等の新しい治療が報告されており,補助化学放射線療法を組み合わせることで,外科的腸切除を回避できる可能性が期待される.

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