一般社団法人 日本大腸肛門病学会

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学術集会・セミナー

[抄録]クローン病術後の腸管不全に対するマネジメント

最終更新日: April 05, 2024

第33回日本大腸肛門病学会教育セミナー

Ⅱ.外科(Ⅱa)
  炎症性腸疾患外科治療における諸問題~最近の話題

2.クローン病術後の腸管不全に対するマネジメント
  東北大学病院 総合外科
  渡辺 和宏

 クローン病の再手術率は治療の進歩とともに低下してきているがいまだに高率である.複数回の腸切除や広範囲の腸切除を余儀なくされた症例では短腸に伴う腸管不全の病態を呈することがある.腸管不全は「経口摂取のみでは諸栄養・水分・電解質・微量元素の必要量を補えないため,日常的に補液が必要な状態」と定義され,多くの症例では在宅中心静脈栄養管理を要している.定期的に栄養評価を行い,輸液内容などを調節することで適切な栄養状態を保ち,静脈栄養の依存度を低減し,合併症を予防することが大切である.カテーテル関連血流感染症(CRBSI)と腸管不全関連肝障害(IFALD)は高頻度かつ生命予後に影響を与えうる合併症であり特に注意が必要である.微量元素の過不足も頻度の高い合併症である.腸管不全症例の管理は,カテーテル・栄養・代謝・ストーマ管理・精神面など多岐にわたり,長期に安全で包括的な管理を行うためには多職種との連携が重要である.

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