一般社団法人 日本大腸肛門病学会

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学術集会・セミナー

[抄録]炎症性腸疾患関連癌外科治療の現状と課題

最終更新日: April 05, 2024

第33回日本大腸肛門病学会教育セミナー

Ⅱ.外科(Ⅱa)
  炎症性腸疾患外科治療における諸問題~最近の話題

3.炎症性腸疾患関連癌外科治療の現状と課題
  東京大学 腫瘍外科
  石原 聡一郎

 本邦において,炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎とクローン病はいずれも増加傾向である.炎症に対する薬物療法の進歩は近年著しく,炎症のために手術になる症例は減っている一方で,長期経過に伴う癌・dysplasia の合併による手術症例の割合は増えてきている.炎症性腸疾患に伴う消化管癌は,進行癌の予後が不良であり,早期発見のためのサーベイランスが重要であるが,クローン病においては直腸肛門管癌の頻度が高く,有効なサーベイランスプログラムが確立されていないことが大きな課題となっている.潰瘍性大腸炎合併大腸癌に対しては大腸全摘術が基本術式であり,J 型回腸嚢を用いた再建術が行われる.クローン病合併の直腸肛門管癌に対しては,肛門温存が難しい場合が多く,腹会陰式直腸切断術を要する場合が多い.炎症性腸疾患に対しても近年腹腔鏡手術などの低侵襲手術が行われるようになったが,癌合併例に対する有効性と安全性はまだ十分に明らかになっていない.本講演では,大腸癌研究会で行われた大規模プロジェクト研究の結果も紹介しながら,炎症性腸疾患関連癌の外科治療について解説する.

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