第34回日本大腸肛門病学会教育セミナー
Ⅰ.内科・放射線科・病理科・その他(Ⅰ)
テーマ: 炎症性腸疾患(IBD)診療の最前線
1.難治性潰瘍性大腸炎に対するAdvanced therapy の最前線
~作用機序から各薬剤の基本的なポジショニングを考える~
中村志郎先生(大阪医科薬科大学第二内科)
近年,潰瘍性大腸炎(UC)に対する内科治療は急速に進歩し,ステロイド治療に抵抗性や依存性を示す難治例に対しても高い有効性を示すAdvanced therapies(ATs)が多数登場し,入院率や手術率の低下が報告されてきている.現在,本邦で使用可能なATs は,まず血球成分除去療法・アザチオプリン・タクロリムス,次いで抗TNF-α抗体3 製剤,さらに2018 年以降には非TNF 系の抗体製剤として,抗α4β7 抗体,抗IL-12/23(p40)抗体,抗IL-23(p19)抗体2 製剤,また新世代の経口低分子薬としてJAK 阻害薬3 製剤,抗α4 阻害薬,S1p 受容体調節薬などが承認されている.このような背景から,担当医は各患者に対し有効性と安全性の面から最適な適応が求められるが,各AT の位置付けや使い分けについては不明確な部分が非常に多い.今回の教育講演では,まず作用機序や薬剤特性の面から,各AT の位置付けや適応の基本を再確認することで,臨床現場において遭遇する難治例に対し妥当性を有する薬剤選択のための考え方をお伝え出来ればと考えています.