第35回日本大腸肛門病学会教育セミナー
Ⅲ.肛門科(Ⅱb)
テーマ: 肛門疾患診断・治療Strategy
2.知ってるようで知らない排便の話
黒水丈次先生(松島病院大腸肛門病センター 外科)
排便は最も原始的な生理現象の1つで,形態学的に健全な消化管に作用する中枢神経,脊髄神経,末梢神経,および腸管神経活動によって調整される,統合的かつ協調的な感覚運動機能である.回腸末端から盲腸に送り込まれた内容物は,大腸運動により適切な速度で肛門側に移送されながら水分を吸収され徐々に固形化される.高振幅伝播収縮により内容物が直腸に移動するとsampling refkexにより物質特性を認識し,明確な便意を催すまで直腸の貯留能が機能し貯蔵器官としての役割を果たす.排便を意識するとトイレへ行き排泄するが,排便は内肛門括約筋の直腸肛門抑制反射と外肛門括約筋の協調的弛緩に,正しい息みによる腹腔内圧の上昇が加わり始まる.直腸が完全に空になった感覚をうけると,半自発的な制御のもとで外肛門括約筋と骨盤底筋の不随意運動によって肛門管を閉じる(閉鎖反射).この排便の仕組みの過程で問題が生じると排便障害をきたすことになるため,正しい排便の生理機能を知ることは排便障害の治療に重要である.

