一般社団法人 日本大腸肛門病学会

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肛門の病気

おしりの機能検査―うんち漏れや便秘、糞づまりはちゃんと検査してから治療しよう!

最終更新日: December 19, 2023

大腸肛門病センター高野病院 高野 正太


 みなさん、うんちが漏れたり、逆にうんこがお尻につまったりして困ったことないですか?
便失禁や便排出困難に対しては色々な治療がありますが、原因をちゃんと調べてから治療しないと大変なことになってしまうことがあります。
 例えばお尻の中に硬いウンチがつまっている人に対して、便が硬いからといって強い下剤を飲ませると、今度は下痢便が漏れ漏れになってしまうってことはよくあります。

 では、どんな検査があるのか。重要なものだけピックアップしましょう。

①直腸肛門内圧検査:お尻にセンサー(図1)を挿入し直腸や肛門の圧力を測ります(図2)。お尻を締めずに力を抜いた状態の圧力を肛門静止圧と言って、これが低いとうんこが知らないうちに漏れやすくなります。お尻に力を入れたときの圧力を肛門随意圧と言って、自分で意識してどれだけお尻を締めることができるかを測ります。これが低いとウンコを我慢できなくなってしまいます。逆にうんこが出にくい人ではうんこをするためにお腹に力を入れたときの直腸の圧力と肛門の圧力を測ります。力んだ時に直腸の圧力が上がらない人はお腹周りの筋肉がうまく使えていません。力んだ時に肛門の圧が上がる人は逆に肛門を締めているのでウンコが出にくいのです(図5)。

図1:圧センサー 12個のセンサーで同時に圧を測ります
図1:圧センサー 12個のセンサーで同時に圧を測ります

図2:正常の人がお尻を締めたところ
図2:正常の人がお尻を締めたところ

図3:3Dで肛門管の圧を立体化
図3:3Dで肛門管の圧を立体化

図4:怒責時の圧力が正常な人。肛門の圧が下がっています
図4:怒責時の圧力が正常な人。肛門の圧が下がっています

図5:怒責時にお尻に力が入って締まってる人
図5:怒責時にお尻に力が入って締まってる人

②直腸感覚検査:直腸内で風船を膨らませてどのくらい膨らんだら便意をもよおすのか、はたまた我慢できなくなるのかを計測します。どれだけ膨らんでも全く感じない人がいます。そういう人は普段ウンコが直腸にやってきても気づかないので溜め込んでしまい、硬くなって出せなくて苦しみます。
③肛門感覚検査:電気で肛門を刺激してどれくらいの電気刺激で気づくか計測します。
④排便造影検査(ディフェコグラフィー):お尻から直腸にバリウムを入れます。このバリウムは小麦粉や水と混ぜてちょうどいい硬さのうんこの様にします(擬便)。このバリウムをお尻からいつもうんこをする時の様に力んで排出させます。その状態をレントゲンに撮影します。うんこをする時の直腸肛門の動きや形を知ることができます(図6)。

図6-1:怒責時に肛門が開いてバリウムが流れ出る正常な人
図6-1:怒責時に肛門が開いてバリウムが流れ出る正常な人

図6-2:怒責時に肛門と骨盤底の筋肉に力が入り直腸肛門が曲がってバリウムが出ない人
図6-2:怒責時に肛門と骨盤底の筋肉に力が入り直腸肛門が曲がってバリウムが出ない人

 これらの検査を症状に応じて行います。便秘や便漏れの原因を把握して正しい治療を行うための検査です。ちょっと恥ずかしいかも知れませんが、それぞれの病院が色々な工夫で羞恥心の低下を図っています。

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